伝統とは   強健術(オーストラリア通信)2

第二回 伝統とは!         

夏の到来を前に、百穀を潤す雨が降る季節。シドニーは寒暖の差は激しく
ありませんが 日本と同じように四季の変化が感じられます。春の海は見る
にも美しく、まだ冷たい海水 に思い切って入ると、全身に自然の力の大き
さが感じられます。皆さまはいかがお過ごし でしょうか。

肥田式強健術の素晴らしいところは、場所を選ばず、国を選ばず、季節や
時間を選ばずに
日々続けていくことができることです。今日も気持ち良く
身体を動かして学べる歓びを共に味わいましょう!

 

さて、前回は肥田式強健術を「近代科学に裏打ちされた日本の伝統的気合
による心身鍛錬法」と表現して、東洋的な学びの方法について考えました。
今回からはそのようにして学ばれる 伝統とは一体何なのかについて見てみ
たいと思います。

 

伝統の「統」という字には、古くはたくさんの糸を合わせたもの、まとめ
るという意味があったそうです。身体感覚で伝統という言葉を考えると、
一人の人間が糸をいろいろなところから集めて一つにまとめ、次の世代に
渡し、その人がまた糸をより集めて一つにまとめていくことで前の世代の
ものを引き継ぎながらも全く新しいものを生み出してまた次の世代に伝え
ることになるでしょう。

この「伝統」に対して、「伝承」というのは一本一本の糸。貰ったままを
引継いでいくこと。さながらDNAのようです。伝承が一本一本の染色体
であるならば伝統はたくさんの糸をより合わせたDNAでありそれを体現
している人間そのものであります。

 伝承は伝統に不可欠な物ですが、伝承だけして伝統をしないものはクロー
ンであり、保存という意味では大切ではありますが進化向上というエネル
ギー性に欠けます。試行錯誤によるその時代に合った伝承の取捨選択や統
合というイノベーションが行われるがゆえに、伝統は偉大で尊ばれるので
あり、また、このように大きな可能性を持っているところに人間の一人ひ
とりの素晴らしさがあるのだと思います。

 

伝統ということの意味を踏まえて聖中心道肥田式強健術を修することを考
えてみると、明治
大正昭和という思想的な激動の時代に、国粋に偏ること
なくまた外来思想を崇拝することもなく、古今東西の鍛錬法を真摯に実験
研究し、近現代において心身を一体として最も深く効率的に鍛える方法を
纏め上げられた鍛錬法であることを思えば、一般の人々に認知されている
かどうかに関わらず、
強健術というのはまさに伝統のど真ん中に位置する
学びであると言えるでしょう。

では、この学びが伝える伝統とは一体何なのでしょうか。次回以降、具体
的にこの鍛錬の血肉となったものは何だったのか、様々な要素があるなか
で、肥田春充師が残されたキーワードを中心に考察してみたいと思います!

 

【静謐の中にさざなみの音を響かせるブロンテ・ビーチ】
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【ビーチを囲むようにして聳えるクリフ(崖)】
聳えるクリフ

          fromオーストラリア まい花 記

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