強健術 概要

 

【肥田式強健術とは】

 

 肥田式強健術は、健康法として、心身の改造法として、
 現代人に最も理想的な心身鍛錬法です。

 
 

 肥田式強健術を行うことによって得られる八つの効果 
   1.筋肉の発達      5.姿勢の調和
   2.内蔵の壮健      6.動作の敏活
   3.皮膚の強靭      7.気力の充実
   4.体格の均整      8.精神の平静

 
 

 一生涯続けてできる健康法 
  肥田式強健術は老若男女、いつでも、場所も取らず、お金もかけず、
  服装も気にせず、あまり時間もかけず、無理せず、一人で稽古する
  ことができます。

 
 
 
 

【肥田式強健術 体系図】

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【肥田式強健術 体系説明】

< 正伝 強健術 >
「簡易強健術」
簡易強健術は別名「呼吸応用強健術」とも言います。この型は骨格の矯正や日常生活
さまざまな場面での姿勢の調和を図るのに優れた型です。じっさいの運動では足を固
定して、重心を両足の真ん中に置いて上半身を主体に動き、とても覚えやすいために
広く普及しています。

下半身をドッシリと据えて行いますので、戦場往来の武道同様の動きの強健術の特長
ともいえる「腰腹同量正中心の鍛錬を行う」という意味が理解される型です。この型
は畳一畳程のスペースで実践でき、道具も何も必用とせずに行えます。女性や虚弱者
の健康法としても考慮されていて、本格的な鍛錬への入門型としても学べます。

息を吸う時には胸を開き、手足をノビノビと進展させて、呼気では腹圧を懸けて全身
を収縮させ呼吸を停止させる。有酸素運動と無酸素運動の二面性の効果を図れるよう
に組まれています。型は全身の大きな筋肉を過不足なく運動させ、下半身の腓腹筋か
ら腕の前腕筋までの十箇所を鍛錬します。

「呼吸操練法」
この型は表層部と深層部呼吸筋群を動かし呼吸と姿勢との調和を図る、健康効果抜群
の型です。現在はガンが、戦前は結核が流行し死病でもありました。その結核の予防
と治療に、また万病の治癒能力向上にも活用されました。
現在資料として残されているところでは、東京・京橋に関東大地震まであった平民病
院で医師の指導の下、看護師や患者などが呼吸操練型を取り入れ実践し、予防と治療
に努めていました。

呼吸操練型は床に仰臥し心拍数を変化させずに行います。胸式呼吸と複式呼吸の二系
統の呼吸法を行います。この鍛錬の特長の有酸素運動と無酸素運動を行い、心身内外
の機能向上を図ります。

呼吸筋群の運動は学び初めのうち判りづらく、習得しにくいところがあります。です
が強健術は基本がガッチリしていますから、コツを飲み込めば効果を出すのは容易で
す。平民病院では老若男女が実践していた健康法だったのです。

肋骨が覆う胸郭を拡張させることは難しいのですが、この型は胸郭やその内部の深層
部呼吸筋群を伸縮させますので胸囲の拡張が図られます。
 
「気合応用」
この気合応用は強健術体系の中核にあります。この体系を貫き、これにより効果を体
現する力こそこの型で学ぶ内容です。

この型で他には見られない体系独特な「武道の精華たる気合」、「惰性と反動」、「
速度の活用」、「爪先と踵の重心移動」、「弾力に富んだ素早い動作」などの心身全
体の機能向上が図られます。この型の習熟なくして強健術の感性はあり得ませんし、
顕在・潜在能力の発現は夢で終わります。

されど現在の住宅事情では、気合型の日々の稽古はできがたいものがあります。気合
型は強健術に息吹を加味します。簡易強健型から呼吸操練習得へと進み、気合応用型
に習熟されて「武道の精華たる気合」の体得を図るようにしましょう。

「椅子運動法」
椅子運動法は八型から構成されています。じっさいの鍛錬では丈夫な椅子に座ったま
まで行います。椅子に座り下半身を固定することで、骨格の矯正と上半身の柔軟、弾
力の促進を図ります。運動能力は筋肉量より全身のシナヤカさです。抗老化もシナヤ
カな心身を主体にするのが実用です。

人間をして「考える葦」とパスカルはいいましたが、これは思考だけでなく身体にも
当てはまるのです。とくに背骨は「大黒柱」で、手や足同様の関節での支持組織です。
これを山々を彩る樹木に例えると、下半身は根で背骨は幹、さらに上半身は枝葉のご
ときです。端然と存在する樹木も台風などの風水害をなんども経て伸び立ちます。人
間は学び、経験を重ねてこそ、堂々と歩めます。

強健術は弱者を強者に、病弱者を強健体に、ただの人を才能豊かな人へと変身させる
目的で学ばれます。学ぶ者一人ひとりが目的を明確にして努力すれば、かけた費用以
上の成果が体現されるのが判ります。足や関節の健康を害されている方などは「椅子
運動法」が最適なので、是非のチェレンジを!どうぞ。

< 正伝 聖中心道 >
「中心鍛冶法」
「聖中心道」を構成する二つの型のうち動的な中心鍛冶法には、鉄棒を使用した鉄棒
型と、古流柔術の当て身で使用する集約拳という拳の握り方での鍛錬型があります。

聖中心道型はこの鍛錬を特徴付ける「武道の精華たる気合で腰腹同量正中心の鍛錬を
行う」ことで得られる強健体を体現できたところから学ばれます。

これは聖中心道型の動きが鋭く瞬間的で正確性を要求されているからです。聖中心道
型は強健体体現を目的としてではなく、「正中心力」とか「腰腹同量力」と命名され
た力を体得するために構成されています。この型は、大正十二年六月十八日深夜の鍛
錬で大悟徹底された後に作られた型です。

この型は体系を集大成する型ともいえますが、強健術を構成する動きとは根本的に異なっ
ています。花を咲かせ実の成る稽古は、難しくて学びがたきをやるのではありません。
基本から順序立てて学ぶことが最適な上達法です。

この鍛錬を学ぶ者は劣等感の裏返しの名門意識など捨て、謙虚に落ち着いて「稽古の
たびに初心に帰る」を肝に銘じて学んで欲しいと思います。

「中心練磨法」
中心練磨法は正座を中心とした方法で、「腰腹同量力」の活性化を図ることを実践し
ます。じっさいの型では正座により姿勢をただし、腰と腹とに同じ量の力を入れて、
胸式呼吸と腹式呼吸で鍛錬します。


床に座って殆ど動かない中心練磨法を一見した方から、「ただの正座だけで鍛錬にな
るのか?」との質問を受けることがあります。実は「見るとやるとでは大違い」の見
本のような鍛錬法がこの型です。正座しての体内では深層部・表層部の呼吸筋を総動
員しての呼吸と腰腹姿勢との調整運動を心かげていて、実践者はなかなか大変な運動
量をこなしています。


この中心練磨法の一部の型は病気回復を促進する「労作(運動)療法」にも活用され
ています。労作療法で 行う場合は正座する必用は無く、椅子に座るなどして実践しま
す。その場合は呼吸を主体に内蔵の壮健と 精神の平静、気力の充実などの活性化をメ
インに行います。

 
< 別伝 ―治療法― >
「天真療法」
天真療法は「安静」、「食事」、「運動」を病者の状態に合わせ組み合わせて治療し
て行きます。療法の中心には「安静」があり、五段階の安静状態に区切られています。
この安静は心身がリラックスして治癒能力が向上するように組まれた仰臥方法(自然
休養体)により実践され、重篤の病者では安眠と断食とを併用するなどします。

戦前の日本で現在のガン同様だったのが結核でした。天真療法は当時の名医が自ら実
践し、病院でも取り入れ運用され、春充翁指導の下で多くの病人を完全回復に誘導し
て感謝されていました。これは実父が幕末の名医だったこと、養子先の父も名医で、
当人が死を見ること数知れずという病弱者であったことなどの経験の蓄積から生み出
された実践的医療体系だからです。

現在の医療体系でも重篤症状の回復に必用なのは安静です。治療よりも投薬よりも治
癒能力活性が安静にあるからです。この天真療法の理論も解剖学、生理学、臨床に基
づき、全編科学的に解説されて、現代でもまったく色あせることがない内容です。

「強圧微動術」
強圧微動術は二体系で組織されています。それは相手の身体に触れずに行う伝統の手
のひら療法と、指または掌を全身のツボに当てて呼吸のリズムに合わせ微動される方
法です。相手の身体に触れない手のひら療法は気功の外気功同様で、微動術では翳掌
法(えいしょうほう)といいます。


相手に触れての強圧微動術は身体の活性化を図り、疲労を一掃し、抗老化や自然治癒
能力を高めるためなどに実践されます。


ヒトは感情の高まりで喜怒哀楽の表情をとりますが、さらに感情の高揚をみると身体
を震わせるだけで表情が固定されます。この興奮の極致における身体内では、神経や
血流さらに治癒能力が最高に高まった状態に至っています。


翳掌法は、受け手を椅子に座らせたり、仰臥などのリラックス状態で行われます。普
通、指または掌を微動させる法の施術後に翳掌法を行います。施術においては無声の
気合という極度の精神集中と、息遣いでの無音の気合を遣います。「武道の精華たる
気合で腰腹同量正中心の鍛錬」をそれなりに完成した後に学びます。

 
 
< 活用伝 >
「根本的健脳法」
潜在力活性の核ともいえる根本的健脳法は、脳の健全性向上と記憶力や想起能力向上
などを高められるように組まれた脳力活性法です。教科書として「根本的健脳法」と
いう書名で一冊に纏められています。姿勢を正し、頭を正しい位置に置き、腰と腹と
に同量の力を込め、神経を穏やかにして、脳血流をよくし、脳の疲労を防ぎ一掃して、
思考する対象などに精神を集中させます。


この健脳法にある目的に合う方法を繰り返すことで記憶力増進や思い出す能力の想起
力を高めることをします。また、脳活動の長期化や深い集中に伴う脳疲労や現代人に
多い鬱病などの一掃も健脳法の目的です。

「中心力雄弁法」
顕在能力の集大成でもある中心力雄弁法とは、思い通りの講演を堂々とすることで、
聴衆を魅了する雄弁術です。自らの思いを他人に理解させられるように文章化するこ
とと、堂々と開陳できることは能力活性化の証明でもありますし、人間としての魅力
でもあります。私どもは社会生活をしているのですから、個の尊厳や価値を必用に応
じて表現できなければ活動が制限され、さまざまに規制されるなどの理不尽な状態を
余儀なくされます。


中心力雄弁法は理路自然たる話し方ではなく、力強く、ゼスチャーも交えた内容の話
し方を磨きます。翁は中心力体得以前はあがり症で人前での話はできなかったと語ら
ってます。


長年にわたり聴衆を魅了する理想的な雄弁術を研究するも、できなかったとのことで
す。それが大悟徹底後はどのような場所で、どのような人間相手でも臨機応変に話す
ことができて感動させた、とあります。この気合で学武「腰腹同量正中心の鍛錬」は
人の顕在力を多いに盛り立てます。

< ―気合応用伝― >
[中心力護身法]
中心力護身法は翁が柔道の前に学んだ古流柔術の型を利用し、力学と幾何学から割り
出した力の合理的な使い方で組織した護身術です。じっさいの護身法では型で身体や
手足の動きを学び、威力は強健術の気合応用型で鍛錬します。


気合応用型には護身術の要素が隠されており、跳躍、瞬転して倒れる、蹴上や肘撃ち、
膝蹴りや体当たりなどなどが一人鍛錬で行え、柱を利用したとっさの時の間合いや息
遣いなども訓練できるように組織されています。


女性や子供など非力な者へ配慮され、屈筋、伸筋の筋力の合理的な使い方、気力の充
実の仕方なども工夫されて習得しやすく、実用で使いやすく工夫されています。

「中心力抜刀術」
中心力抜刀術は「武道の精華たる気合」習得向上のために学ばれますこの中心力抜刀
術の「中心力」とは腰と腹とに同量の力を込めて行うという意味と、同量力をさらに
高めるという内容があります。


この抜刀術は普通の武道などの敵を想定しての動きではなく、禅に伝わる「十牛図」
の境地を求めて鍛錬されます。じっさいには三尺前後の長刀での抜刀を瞬息的な気合
に載せ一気呵成に抜刀鍛錬します。型には原型と応用型とがあって約三十の型から成
っています。この鍛錬は裂帛の気合習得に役立ちます。本格的に鍛錬を学ぶ者には、
抜刀術をやることを勧めます。

 
 

【心身・丹田・姿勢・座法の概念図】

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【肥田式強健術の呼吸と動作との関係】

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